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人工甘味料

ディジタルの音が私たちエンジニアの間で未だ評判よくないのは、音が「イイ」
とか「ワルイ」とかそういう下世話なことと少し違う。
砂糖といわれてなめてみたら少しニガイと感じた。これは「オカシイ」と誰でも
そう思うだろう。そんなニュアンスだな。とっても純粋で素直なことなんだ。
だが、この微妙な味は分からない人もいるし、好きという人もいる。
このディジタルのゴミとどうやって協調しあうか。そう、除去出来ないから正面
から素直に受け止めるんだ。殆どのばあい無意識のうちに対処しているんだけど
ね。これまでいろいろな試行錯誤の積み重ねがあったからなのです。
ここ数年、ディジタルの音は「落ち着いた」と思っていた。なれたということも
ある。私には特別不満はない。
しかしこの春ごろより何やらかまびすしい。ミキサーやマスタリングエンジニア
の間から批難轟々。そう、皆さんとっくにご存知のコピーコントロールCDのこ
とだ。

私は経験していないのでいろいろ見つくろって聴きました。布団をかぶせたよう
な音がしていた。これは本来の音質承認チェックでしたらいきなりハネられます。
不良品です。マスターテープやその他の工程をチェックして再カッティングです。
ただごとではありません。
だけど、私、いろいろ聴いていて、これはどこまでコピーコントロールのせいな
のかとても不安になりました。オリジナルは一体どんな音がしているんだろうっ
てね。近年ますますコンプレッサーてんこもりのふんづまりの音が多いじゃない。
それと私の耳がロートルってこともある。困ったなぁ・・。個人的な趣味であん
まり口幅ったいことはいえない。オリジナルと比較したいと思っていたらうって
つけのCDを見つけた。

ゴールドアワードに輝いたというコンピレーションアルバム。これはコピーコン
トロールCDと比較してくれといわんばかり。チェックさせてもらいましたよ。
私はこのチェックの為に沢山のCDを買うことになって・・・輸入盤しか買わな
い私には割高感は否めませんでした・・・。
一応、それぞれ作品スタッフの名誉のために・・・。オリジナルを聴いてホッと
しました。私の耳はまだまだ大丈夫のようでした。

コピーコントロール導入について、いろいろな方面から検討を重ねたと思うので
すが、制作サイドからの声は聞き入れなかったんですね。音のことを議論してい
ては結論が出ない、無視したとしか思えません。「お家安泰のためだ」と説得し
たのでしょうか。
音楽業界に限らず物が売れない時代。どこの業界も必死。いろんな所でいろん
な物が値下がりしている。そういった事は考えられないんだろうか。

コンピューターの普及でCD-Rは現在、世界中に約48億枚出回っていて、その
内の半数の24億枚が音楽の違法コピーに使われているという。
国内では年間約2億3600万枚流通して、そのうちの約48%が音楽コピーに
使用されているらしい。
日本レコード協会の発表では、CDの売り上げが年間4億5千万枚を超えていた
のが、昨年では3億900万枚まで落ち込んだという。
レンタルや友人、あるいはネットを通じて不正にCD-Rにコピーされているか
らだといっている。
過去半年間でコピーを経験した人は全体の66%。新品CD購入者より13%上回
っているという。

う〜ん、確かにこういう数字を見せつけられたら、私だって何とかしなけりゃと
思う。でも・・・コピーのせいばかりじゃないんじゃないかな。
また、CDを買った人は、聴き終わったら中古店に売ってしまうケースも問題視
している。中古市場をニガニガしくみている。
「売っちゃいけないの」「つまりねCD-Rにコピーしてから売っているという
んだね」「だから?」「違法みたいよ」「売らないで持ってたら?」「違法じゃ
ないんじゃない」「ワカンナイヨジョーダンでしょ?」おタカラにするほどのも
のではないんだ。聴き終わったらさっさと処分、雑誌感覚なのかもしれないな。
それはともかく、はたしてこのコピーコントロール、「違法行為」「海賊版防止」
に役立つんだろうか。コピーが出来ないぞ、といってお店に走ってくれたんだろ
うか。売り上げが戻ったんだろうか。私はますます売れなくなってしまうのでは
と心配なのだが。

私はこの記事を書くに当たって、いろいろ調べいて、少し気になったことがあっ
たのでそれを書かせていただきます。
一つはディジタルの初期のころからよくいわれていたことで、私などは耳にする
たびに「バカ」とはらの底でどくづいていた。
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「なんどコピーしても音質の劣化はない」
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私たちが悪評ディジタルを克服してきた一つに「無駄にジェネレーションを重ね
ない」ことだった。どれだけ改善されるかは自明の理だ。ディジタルコピーは間
違いなく劣化する。私はアナログ経由のほうがはるかに音楽的であると思ってい
る。
もう一つはmp3に変換した音についての表現「CD並の音質」「CDとほぼ変
わらない音質」レコード協会はこのような表現を自粛して頂きたいといっている。
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『これらの圧縮技術は、元のCDから人の耳で識別しにくい音をカットするなど
してデータ量を何分の一かに減らすものであり、上記の表現は技術的に明らかに
事実と相違するものです。制作者にとっては、上記表現は圧縮された音質で元の
CDの音質を判断されることになり、耐えられない問題です』

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おっしゃる通りでありますが「並」とか「ほぼ変らない」とか言っているのだか
ら、誰もオリジナルと同じだとは思ってません。ディジタルコピーもしかり。
コピーはあくまでもコピー。これは人工甘味料で本物ではないと誰もがそう認識
している。誰もが本物の砂糖とは思ってはいない。それをいうなら制作者のプラ
イドを踏みにじってまで強行した真意と、コピーガードの音質について、正しく
説明していただきたい。
それとオエライさんのコメントはなんですか。
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『コピーコントロールの音質についてはマスタリングエンジニアだったら気付く
かもしれない』

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シロートには「わかるめ―」といっている。誰もオリジナルを聴いていないから
ってなにをいう。
遅まきながら断っておきますが、私は「海賊版阻止」「音楽文化を守る」につい
て異論を申し上げているのではない。しかしながら、不良品を作っておいてこの
大義名分はないんじゃないかな!!!。


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