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スペシャリスト?

 「もはやスペシャリストではない」とは自分でも穏やかではない発言だと思っ
ています。「そんな事は考えられないよミキサーの仕事は大事だよ」誰もがそう
言います。本来の職人的形のミキサーは21世紀になっても重要でしょう・・・。
 かつてタイピストというスペシャリストがいました。そういう専門学校もあり
ました。ワープロを誰もが使えるのが当りまえの時代、何時の頃からか、タイピ
ストという職業名は聞かなくなってしまいました。
 作曲家やアレンジャーは、ペンや五線譜のように、道具として録音システムを
持つようになった。コンピューターを駆使し、当り前に録音からミックスまでこ
なしてしまう。
作曲、アレンジ、打ち込み、録音、そしてミックス迄。この一連のプロセスが作
曲家の仕事です。全部ひっくるめて作曲なのです。これはとっても自然な形だと
思います。
 一人、誰にも気兼ねなく、時間を気にすることなく、納得いく迄出来る。こう
して録音されたものはどれもグレート、我々プロのミキサーは必要ありません。
 この現実、私くしとても複雑です。明らかにタイピストと同じ道をたどってい
るからです。
「打ち込み」と言われるジャンルが確立し始めた頃、もう随分昔のことになりま
すが、その頃からミキサーは「スペシャリストでなくなる」と感じていました。
 理由はやたらミックスに時間が掛かることと、正しくマイクロフォンを使えな
いミキサーが多くなったこと等です。
 ミックスに関しては、たかだか4分ほどの音楽に丸一日またそれ以上かかると
いうのは、何も解っていない証拠でしょう。ただ試行錯誤して無駄に時間を費や
しているだけです。これではプロとは言えません。

 そして、ミキサーとしての独自性、これが妙な方向へと行ってしまいました。
本来、ミキサーとは縁の下の力持ちのはず、これが表舞台に出てきた。何を考え
てか、パフォーマンスすることを覚えた。
 もともとミキサーとは何かにつけて一言多い人種だ。自分に都合のよい解釈と
屁理屈で煙に巻いてしまう。それは一種のパフォーマンスということになるので
しょうが、それが、より近代化したのかもしれません。
 始めのうちは企業努力としての姿勢だった。それが営業努力となってエスカレ
ートし、イベント的要素をおびてしまった。デパートの実演即売会じゃあるまい
し、と言いたくなります。砦のように機材を積み上げ、スペックにこだわり骨董
品にこだわる。「チューブ」だか「タマ」だか知らないが(バンド名ではないよ)
そんな物にこだわる。本気でイイ録音出来ると思っているところが恐ろしい。
これをパフォーマンスと言わずして何というのだろうか。
 何をしてもイイ、何をノタマッテもイイ、録音は結果なんだということを忘れ
ないでほしい。結果の伴わない録音はコダワリでも何でもない。本当に解ってい
るのかな・・・。
 それにしてもミキサーってものすごくウサンクサイ職業になってしまった。
そう思うのは私だけか・・・。
 これも時代といえばそれ迄でね、音楽作りの環境がプロとアマチュアの境が無
くなってしまった。何も我々音楽の世界だけではないようですが・・・。
ナマジっかな技術や感性を持ち合わせてないほうが、お互い仕事がやりやすいの
かもね。そんな録音物が多くなってきたことは確かだ。


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