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ハンバーガーと音の関係

 1970年代は音楽が一番充実していた時代だったのではないだろうか。私も
この時代、心身ともに充実していた。そして音楽と音に対してとても貪欲だった。
 とにかくレコードはよく聴いた。手当たり次第に聴いた。暇さえあれば輸入レ
コード店にいた。その聴き方は週刊誌を見るが如し、読むのではなく見る感じだ
った。忙しく聴く時間がないのに店へ入るとつい買ってしまった。
 そのジャンルは全てに及んでいたがボーカルを中心とするジャズ系とフォーク
ロック系が中心だった。
 プロデューサー、トミー・リピューマーと、ミキサー、アル・シュミットとの
ものは必ず買った。職業がら当然音のイイものを聴くのだが、二人が作るレコー
ドは「大事なのは音楽だ」そんなことを教えられた。当たり前のことですが。
 この二人が作るレコードは繰り返し聴いた「趣味がよい」これが結論だ。それ
にしてもアル・シュミットの録る音と、そのミックスはセンスがイイ。ナチュラ
ル、シンプル、ホット、みな身体にイイ健康録音。私も随分勉強させてもらった。
 音を意識させずにアーチストの描く世界へ導く。勿論、録音が良いだけの話で
はありません。この辺はトミー・リピューマーのセンスでしょうね。

 こういったものを理解するには、意識するにせよしないにせよ、先ずカタチか
ら入るのが手っ取り早い。ようするに真似をすることだが・・・。
 例えば戦後日本のジャズの黎明期、いかにチャーリーパーカーそっくりに吹く
か。いかにバドパウエルそっくりに弾くか。そんなことに血眼になっていた。
「誰々にクリソツだよ」(「そっくりだよ」をひっくり返して「クリソツ」ジャ
ズ屋はなんでも言葉をひっくり返して言っていた。今はあまり言う人はいない)
そう言われたくて「レコードが擦り切れ溝が無くなるまで聴いてコピーしたもん
だ」そんな話を古いジャズマンから聞いたことがある。
 この「誰々にクリソツ」といわれるのが勲章でホメ言葉だったらしい。絵画の
世界でも、先ず摸写から始めるのが上達の近道と聞いたことがある。何でもその
ようだ真似ることから全てが始まる。物真似で終わってしまってはしょうがない。

 人間の五感、視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚。国が違えばその感覚も違うよう
ですね。
 視覚についてはものの本で読んだことがある。瞳がブルーの人種と黒の人種で
は、色に対する受け止め方が違うらしい。
「あわい、うす紫いろのあじさいの花」こういう色合いがハッキリしないらしい。
どうも水彩画のように、微妙な色に対する感覚は黒色の瞳とは違うというのだ。
 そう言われてみれば、洋服なんかの色でも、原色の目が痛くなるようなもを着
る人が確かに多い。関係あるのかもしれない。

 味覚については、私が始めてロスアンゼルスに行った1971年の体験。
古い話で恐縮ですが、ハンバーガーショップ(マクドナルドではない)ヘ入った
時のことだった。前に並んでいた人の注文が出てきた。包みを開いて上のパンを
どかした。先ず、ケチャップの入ったチューブを握り、グジュグジュとハンバー
グが見えなくなるまで絞り出した。
次に、マスタードを同じように先のケチャップの赤が見えなくなるまで真黄色に
絞り出した。そしてパンを乗せ包み直し、私の顔を見てニコッとして出て行った。
 私はこの動作を一部始終観察していた。いや〜驚いたね、どういう味覚してん
だろうと思いました。ハンバーガーショップに限らずレストランに等に入っても、
食事の仕方を盗み見していました。
 とても興味を持ったんですね。個人差こそあれ、日本人だったら絶対あそこま
でふりかけないという量だった。
 甘いものに関してもそうだ。私はどちらかというと甘い物が好きだが、あの甘
さには歯が浮いて食べられない。コーヒーなんかでも、ティースプーンで3杯か
ら5杯は砂糖を入れる。どうもデリカシーのない国民のようだと感じた。余計な
お世話か・・・。

 嗅覚について、あのコスメティックの匂い、異常ではないのだろうか。鼻がわ
るいのか、鈍感になっているのか・・・理解出来ない。目にチカチカとしみて鼻
の奥がツ〜ンとなり大きなクシャミが出る。断わっておくが、私はアレルギー性
鼻炎ではない。
 これは「趣味の問題」と言って済まされるのだろうか。あの匂いのさせ方は異
常としか思えない。もっと言えば、公害だと思う。
 昨今こんな匂いをさせる日本人が多くなった。コンサートや映画館等でこんな
匂いさせる人が来られるとたまりません。逃げるしかない。やはり余計なお世話
・・・なのかな・・・。

 聴覚についてもやはり違うんですね。私がイイと思う音とアル・シュミットが
イイと思う音は一緒でも、作る音は違う。同じようにイメージし、録音に取り組
んでも違うということです。
 料理で言えば味付けです。同じ中華料理でも、サンフランシスコで食べるのと
横浜で食べるのでは全然違う。これが文化ってやつですね。でも、どちらも美味
しい。
 音も全く同じです。だから音作りは真似てもしょうがない・・・?。私の言い
たかったことはこれだけなんですが・・・・オ シ マ イ・・・・。

 イイ音で録る、というのは、イイ音が出ていることが前提なんですね。
例えば、ピアニストにしても、ヴァオリニストにしても、トランペッターにして
も、プロはイイ音を出すのが全てでね。(実はイイ音の概念ていうか基本は曖昧
ですが)
 ある録音スタジオに、日本では最高と言われるピアノがあるんだけど、しかし
下手なピアニストでは鳴らないのね。ピアノの場合、弦楽器や管楽器と違って、
誰が弾いても同じ音だと思われるかもしれない。ところがギッチョン、ピアノは
下手な奴が分かるらしくって鳴ってくれない。つまり音がよくない。この辺私達
エンヂニアにはどうにも・・・ナラナイ・・・部分なんですね。
 楽器もやはり一つの道具でね。イイ音がしないと言うことは使いこなせていな
いわけで、音楽性以前の問題ですね。
 しかし、ハートある演奏家はそんな事どうでもイイことでね。一番大切なのは
これですね。下手な奴ほど楽器のセイにしたり、エンジニアのセイにするのね。
(・・余計なこと・・言って・・しまった・・)ようするに、音楽が前面に出て
きて音を意識させない。イイ録音とはこれですね。・・・・解るかな!。


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