「ビートルズがニューシングルをリリースする」というニュース、私はデマに
きまっていると思ったので特に驚くことではなかった。
話は1968年録音中に紛失したマスターテープが最近見つかったと言うのだ。
99年5月10日のロイター電『関係者が明らかにしたところによるとシングル
の発売にあたり新たに手を加えられることはなく、これがビートルズ最後のシン
グル盤』と語っていると言う。
ということは完成された状態で紛失したことになる。もし事実だとしたら、お
そらく「オクラ」になっていたものでしょう。そして一週間後、誤報のニュース。
ロンドンのスキャンダラスな大衆紙『サン』はメンバーのコメントまで載せてい
たそうだ。
現在の録音業界は割とこの年代のサウンド、つまりビートルズサウンドを何か
と意識いるようだ。これがディジタルの音に対する反動なのかなと思うのだが、
どうやら違うらしい。どうも、このへんがいまひとつ理解できない。まあ年寄り
には関係ない話のようですが・・・。
私のレコードライブラリーに、ビートルズが登場したのはCDの時代になって
からだ。それまで一枚も買ったことはなかった。と、言うことは聴いてなかった
ということになるのだが、息子の部屋にはLPレコードが殆ど揃っていた。中学
生の頃だから15年位前いつも部屋から漏れ聴こえていた。そんなんでビートル
ズの殆どはリアルタイムで聴いていない。
嫌いではない。どちらかと言うと好きだ。多くのジャズボーカリストがカバー
で歌っているのはどれも大好きだ。ジャズギタリストのウエス・モンゴメリーの
「アディインザライフ」を聴いた時には感動のあまりオリジナルを聴いてしまっ
た。じゃ、何故聴かなかったのか。はっきり言って・・録音がヨロシクナイ。
60年代から70年代、アメリカではハイファイ録音に対する試みが盛んで、
音のよいレコードを沢山世に送り出していた。名エンジニア、ルディバンゲルダ
ーの録音を始め、レーベルで言えば、ダンヒルサウンドと言われていた「ダンヒ
ル」「プロジェクトスリー」「オメガ」「アンペックス」等々、音を売り物にし
ていた。
ワーナーブラザースが、映画のシネコーダーで録音していたシリーズ等は今も
お手本にできる。全く古さを感じない。そういう音のイイ録音物にばかりに耳が
いっていたせいだろう。
どんなに音楽が素晴らしくとも「オト」が悪い物は聴きたいとは思わなかった。
ヨーロッパの録音物はクラシックを除いて私にはどれも平均値を越えるものはな
かった。殆どが、どうしてこんなにヒドイオトになるのだろうと不思議に思った
ものだ。世界を制覇したグループだ、結果的に何をしてもゆるされたのだが・・。
シネコーダー、映画用の録音機。
そのテープは、フイルムと同じベースに磁気コーティングしてある。
両端のパーフォーレーション(穴)によってフイルムと完全な同期がとれる。
35ミリフイルムだと1 秒 24コマだからスピードに換算すると40cm/sec以上
になるのかな。録音トラックは、セリフ、音楽、効果音用と 3トラックあった。
ナタリーコールが、父とデュエットした「アンフォーゲッタブル」はこのシネ
コーダーで録音されていた。ナッキンコールの歌だけ取り出すには何の問題も
なかったのだが、ボーカルトラックは完全に音が独立していた訳ではない。
同時録音だったので、オーケストラのカブリが多かった。
録音は、このオリジナルと完全に同期させないと、音がダブって聴きにくい。
微妙な「ユレ」のテンポと同期させながらの録音は大変だったらしい。