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音楽的オトについて考える
ノイマンSX-68カッティングマシンのこと


10年以上になりますが、HPを作るとき、LPレコードを整理していて、そのとき気付いてから気に
なっていたノイマンのカッティングマシンのことを紹介したいと思います。1年振りの更新が人の
ふんどしで相撲をとるような内容で申し訳ありません。
SXと銀箔で捺してあるロゴマーク。1968年に登場したノイマンSX-68カッティングマシンです。
よごれた白のようですが銀なのです。どうもこういった光り物はカメラでうまく写せませんね。
スキャナーでは黒くなってしまいこまったものです。

このSX-68カッティングマシンのデビューと、私、イヨベさんがミキサーとして華々しくデビュー
し、活躍していたテイチク会館スタジオ時代とぴたり重なります。そして多くの、と言っても7枚
だけですが。(銀箔をクリックしてください)「ノイマン・SX68・シリーズ」と銘打って、音を
売り物にしていたのです。
先ずはSX-68カッティングマシンとはどういうものなのか小川正雄さんの解説を読んでみましょう。
右の画像をクリックです。(無断で転載しています)




記事の中での「テイチク他1社…」というのは、CBSソニーレコード(当時の社名)のことです。
CBSソニーレコードもこのカッティングマシーンで音を売り物にしていました。ロゴマーク入って
ましたが、テイチクレコードに比べたらさりげなかったですね。

ブックレットには録音のセッティング図も載っています。興味ある方は別ウインドーのジャケット
写真をクリックしてください。大きく見れます。
小川正雄さんは、この当時の私の録音に対していつもイイ評価をしていただきオーディオ雑誌など
に紹介してくれました。
確かに音はイイです。現在のHQCD (ハイクゥオリティCD) と比較しても遜色は感じられません。
むしろイイのでは。具体的に言えば、自然なんです。ナチュラルなんです。同じか…。そういうこ
とです。
どういう基準でこのドンクサイ銀のハンコが捺されたのか。私がいうまでもなく、録音がイイから
です。カッティングマシーンの所為だけではないですね。と、言っておきながら、その他の多くの
私の録音物はどんな評価だったのかな…。

このSX-68シリーズを改めて聴いていて気付いたのは、通常の盤に比べて厚いのです。だから重い。
180グラムです(従来盤は120g)。「重量盤」と言っています。音に対するコダワリの一つです。
近年、オーディオマニア向けでしょうか、さらに重い200グラムというのが出まわっています。
テイチクはSX-68と重量盤の組み合わせでコダワリを見せ付けたんですね。
音にこだわったが価格にこだわらなかった。通常盤と同じ1800円。これは企業努力でしょう。
「エーイもってけドロボー」的、サービス精神だったかもしれません。やるじゃないですか。
ただ今こん日、見習らう必要がある方がいらっしゃるんじゃないですか。

世間一般の評価は総じてよかったです。でも、いつの時代にも、何にでもイチャモンをつける輩がい
るもので、このカッティングマシンの音にも「音がツルッとしている」とか「ガッツがない」とか、
音がきれいに切れて、そんな感じだったんでしょうか。ただ単にウエストレックス社製とのキャラク
ターの違いを言っていたのかもしれません。

何が不満だったのかカッティングエンジニアの技量を問うような記事を読んだ記憶があります。確か
にカッティング関係については「ムコウにはカナワナイ」というのが、ハナから刷り込まれていた感
がありました。先鋭的なプロデューサーやディレクター連中は、何かにつけて、ムコウの録音やカッ
ティングについて口角泡を飛ばしていたのを覚えています。
「洋行帰り」って言葉がまだいきていた時代です。はたしてどこ迄クリエィティブなことだったのか、
疑問に思うところではあります。

技術的なこともさることながら、多くは音楽的センスですね。ディジタルの今も変わっていないよう
に思います。
いずれにしても録音の問題を最終工程のエンジニアの所為にされるのは筋違いでしょう。どうにもな
らないものは、ほんと、どうしようもないのに。

ちょっと横道にそれますが、つい最近、あるスタジオからモニターの音について相談を受けました。
電源部分を新しくしたら音が違ってしまった。どうしたものか決めかねているというのです。
電話を受けたとき、私はミキサーですから「オーディオ的な見地で意見は言えない」それでよければ。

A、B、Cの3通りの構成で試聴しました。このとき電源を設計したエンジニアの方も立ち合いまし
た。先ずは従来の電源A。続いて新たに設計したもの。この新たなものは2通りのパターンが構成さ
れていて、これをB、Cとし、合計3パターンを2回くりかえして試聴しました。
私は、Aで聴いた従来の音を評価しました。B、Cの新電源は、音楽的なことで低い評価をしました。
さらに試聴ソースをクラシカルなものから、ジャズボーカル、ポップス系とチェックしましたが、私
の評価は大筋で変わることはなかったですね。
私の意見について設計者は「なぜ?、こっちがイイに決まっているでしょう」という顏がありありで、
内心おもしろくなかったに違いありません。

新設計の電源は2パターンともとてもイイ音でした。これまでの電源はというとこれもすばらしい音
なのです。私には何が問題なのかと思いました。正直に言いますとそれぞれの違いは微妙なのです。
ですが、オーディオ的な変化は音楽的印象を変えてしまいます。
音が変わると音楽も変わる。音楽が変われば、ミキサーだったらそのミキシング関係を微妙にいじり
たくなるかもしれません。
Aで聴いた音楽的ニュアンスがこの時のミキサーが画いた世界にもっとも近いのでは。もし私がミッ
クスしたとしたらAです。そんな解釈でした。
オーディオ的なことと、音楽的なことがひとつになって同じ方向に変わってくれれば何の問題ないの
だが…。
音を良くする努力はとどまることをしりません。だが誰もが絶賛するSACDが厳しい立場に立たされ
ています。理由はなんであれ一つの答えが出たように思います。音は普通でいいんです。現状でいい
んです。純粋に音楽を楽しむには訳のわからない能書きは必要ない。音楽で感動するのだから。

2009/3/18

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