「香港へ行って録音してくれない?」という話が、偶然にも二人の人から同時にあっ
た。しかし、この話は実現しなかった。
香港のレコードメーカーのプロデューサーと会ってサンプルテープを聴かせて貰った。
ワンポイントで録ったサンプルテープは、あまりの録音のすばらしさに「何で私が?」
と、いってしまった。これが頓挫した原因になったのでは、と思うと実に残念だった。
このオーケストラとても興味深かった。全て民族楽器で構成されていた。弦楽器セク
ションは二胡。胡弓ともいうのかな。チェロ、コントラバスに相当する音域まである。
コントラバスの胴部分はビア樽の感じだ。録音してみたかった。
そんな時だった、キャニオンレコードがクラシックを始めるらしい噂を聞いた。この
話を、香港録音の電話をくれたプロデューサーに話した。タイミングよく企画中のも
のがあり「わたりにフネ」とばかりキャニオンレコードに売り込んだ。それがこのア
ルバムだ。
録音には、ソニー3324ディジタルマルチレコーダを使用した。本当はアナログで、
ドルビーSRを考えていた。ドルビーSRが8チャンネル分しか用意出来ないという
ことであきらめた。
このソニー3324は、ディジタル論争の元凶になったかなりのクセモノ。精神的に
2チャンネルダイレクトで録音出来る状況ではなかったので最初からマルチ録音と考
えていた。
あのヘソ曲がりのディジタルを何とかしなければ。ヘッドアンプにフォーカスライト
のユニットを使用、マイクロフォンの数だけ12台用意した。ヘッドアンプのアウト
をダイレクトにレコーダーつなぎ、レコーダーのアウトをコンソールに立ち上げモニ
ターした。
マイクからレコーダー迄をシンプルにし、ピュアにしようとする考え。ディジタルの
ヘソ曲がりを、少しでも和らげようという試みだ。効果の程は解らない。精神的なこ
とだ「こんなもんだ」という感じだ。
ミックスでかなりツクリました。エフェクト関係も多用しました。私のイメージする
世界へどんどん入ってミックスした。この辺のところに関しては、ミックスに立ち合
った井上さんも、加藤さんも特にクレームを出しませんでした。もっとも、ツクッタ
とはいえ、自然に自然にの方向だったからでしょう。この録音にはキャニオンレコー
ド録音部が全面的に協力して頂いた。感謝。